みなさん、こんにちはケンケンです。
セルの結合は使っていますか?
ここで自信を持って、「使っている!」と答えた方は、ちょっと待ってください。
実は、セルの結合を使っている時点で、データとしての価値はほとんどなくなっています。
なので、今後は使わないでください。お願いします。
これが、結論で今回の話は以上になります。
しかし、このままでは、どうしてセルの結合をするとデータとして価値がなくなるのか、が分からないですよね。
そこで、当記事では、セルの結合の何が駄目なのか、を結合ありと結合なしでVS形式で解説していきます。
それでは、セルの結合は本当に必要ないのかをこれから検証していきます。
まずは、セルの結合ありとなしの表を作ってみたので、比較のためご覧ください。

いかがですか?みなさんは、普段どちらの表を作っていますか?
おそらく、多くの方が結合ありの方を作っているのではないでしょうか。
パッと見、結合ありの方が見栄えは良いので、結合ありで作りがちです。
でも、はっきり言います。
結合ありの表は、データとしてほとんど使えません。というより全然使えません。
データとして使うためには、いろいろ加工しなくてはならないので手間がかかりミスの温床になります。
では、なぜセルの結合は使えないのかを具体的に解説していきます。
1回戦…並べ替え対決


結合ありVS結合なしの1回戦は、
並べ替え対決です。
表形式である以上並べ替えすることはよくありますね。
今回は、「エリア」を昇順に並べ替えてみます。
まずは、結合ありから見ていきましょう。
結果は、

エラーになって並べ替えることさえできませんでした(^_^;)
続いて、結合なしで並べ替えます。
結果は、

並べ替えることができましたね。
結合してしまうと、並べ替えるための選択範囲が他の列と整合性がとれなくなって、エラーになってしまいます。
一方、結合なしだと、エリア列と他の列の整合性がとれているため、並べ替えが実行できます。
ということで、1回戦は結合なしの完勝ですね。

2回戦…コピペ対決

2回戦目はコピペ対決となります。
コピペは、実務で当然のように使う機能ですので、ここでも比較する必要があるでしょう。
今回やりたいことは、
エリア列の「千代田区」から「千葉市」までをコピーして貼り付けて重複を削除してエリアリストを作ってみます。
では、結合ありから見ていきます。

結果は歴然ですね。
エリア列だけコピーしたいのに「東京合計」が結合されているため、ドラッグしていくと隣の列まで範囲選択されてしまいます。
もうすでに厳しい結果になってしまいましたが、最後まで処理を進めてみましょう。


上記のように貼り付け先の列、今回はI列を指定して重複の削除を行います。
すると、

このように、怒られます。
やっぱり使い勝手がわるいですね。
続いて結合なしで同じ処理を行ってみましょう。

「千代田区」から「市川市」まで無事にコピーして別の列に貼り付けることができますね。

続いて重複の削除を行います。

成功しました。
重複を削除できたので、残ったエリア名でリストを作ることが可能です。
いかがだったでしょうか。
コピペ対決も結合なしのコールド勝ちと言っていいのではないでしょうか。

3回戦…ピボット対決

3回戦目はピボット対決になります。
みなさん、実務でピボットテーブルは使っていますか。
集計に便利な機能ですので是非いままで使っていなかった方は、チャレンジしてください。
では、結合ありとなしで比較していきます。
ピボットで各都道府県の合計を集計してみましょう。
まず、結合ありだと以下のようになります。

A1セルを一回クリックし、挿入タブからピボットテーブルを選択し上記のようにテーブルを作成してください。

都道府県を行に、売上を値にあてはめます。

上記をご覧ください。
各都道府県の合計が反映されず、それぞれの1行目の数値以外は空白にまとめられてしまっています。
これでは、集計の意味がありませんね。
また、エリア列で集計をかければ、都道府県別の合計が出ますが、これでは各エリアも集計されてしまってこれも意味がありません。

それでは、結合なしの表でピボットテーブルを作成してみましょう。

上記のように、テーブルを作成してください。
そして、都道府県と売上で集計しましょう。以下のようになります。

どうですか。
思惑通りのデータを集計できましたね。
ピボット対決も文句なしで「結合なし」に軍配があがりました。

4回戦… SUMIF対決

それでは、4回戦に行きましょう。
4回戦はSUMIF対決です。
さっそく見ていきましょう。
今回は、結合なしから検証してみましょう。

コピペ対決で作成したエリアリストを使って各エリアの売上を集計をしていきます。
「集計」列を加えて上記のような表を作成します。
そして、上記の例では、I2セルに「SUMIF($B:$B,H2,$D:$D)」と入力してください。
すると、I2セルに千代田区の合計が集計されます。
I2セルの数式をI11セルまでコピーしてください。

上記のようになったら成功です。
簡単でしたね。
それでは、結合ありで同じことをしてみましょう。

どうでしょう。
そもそも関数の第一引数はB列を指定しなくてはならないのに、C列と結合している部分があるので、B列のみを指定することができません。
集計することもできない、つまり関数も使えないということです。
こうなると勝敗はあきらかですね。
結合ありの完敗です。

5回戦…見栄え対決

残念ながら結合ありの負け越しが決まってしまいましたが、最後まで見ていきましょう。
5回戦は見栄え対決です。
会議やプレゼン用資料としては見栄えが良いことに越したことはないですから、比較する意義があるでしょう。
どちらが見やすいでしょうか。

両者の比較をもう一度ご覧下さい。
見栄えは、感覚の違いで印象が変わってくるのでなんとも言えませんが、
結合ありの方がパッと見は分かりやすいように見えます。
同じ表の中に合計欄もあるのでなお良さそうです。
対して結合なしは、一見するとごちゃごちゃしているように見えます。
データとしては何の問題もないのですが、人間が見る情報としてはやや見栄えが良くないと思います。
ということで、この対決は、結合ありの勝ちとします。やっと1勝しました。

6回戦…VBA応用対決

なんとか5回戦で意地を見せた「結合あり」ですが、最後のVBA対決はどうでしょうか。
VBA対決で見るべきところは、
コードを書くときにどちらの方が応用しやすいか、というところです。
これは、議論する間もなく「結合なし」の圧勝です。
理由は簡単で、結合ありは歯抜け状態になっているのでデータとしての体をなしておらず、ロジックが重要なVBAではほとんど使えません。
むしろ、結合なしからありへ変換してからコードを書かなくてはいけないので、難易度がグッと上がります。
VBAに応用することも前提でデータを作ることをおすすめします。
よって、最後のVBA対決は結合なしの勝ちとなります。

見せるための資料なら使ってOK

結果としては6戦して結合なしの5勝で圧倒的な差が出てしまいました。
これで結合を使う意味はほとんどないことを証明できたと思います。
ただ、結合ありに唯一軍配があがった見栄えに関しては、実務上重要なときがあるので補足しておきます。
会議やプレゼンなどに使う資料としては、見栄えの良い資料を使いたいと思いますよね。
そんな時は、結合なしで一回資料をつくっておいて結合あり資料に転記していくと良いと思います。
結合なしの状態からだったら、VBAを使って結合ありの状態へ変換することもできるので、VBAを習得している方は、チャレンジしても面白いかもしれません。
また、最後に結合なしの状態だけど結合ありのように見せかけるテクニックをご紹介します。
まずは、以下をご覧ください。

実は、左右同じ表です。
右の表は、一見セルの結合をしていそうですが、結合はしていません。
結合以外の手法を使って結合しているように見せかけています。
以下でその手法の解説していきます。

まず、同じ要素をドラッグして範囲指定します。
最初は「東京」を囲います。そして、罫線の外枠を選択します。
次に、セルとフォントを白で塗りつぶします。
すると、東京の枠を結合したように見せかけることができます。
最後に、ひとつだけ文字を黒に戻します。

上記の方法で、同じ要素を変更していくと冒頭でお見せした表に加工できます。

合計こそ計算してませんが、テクニックを使ってデータの形式を壊すことなく、結合したように見せることができます。
覚えておいて損はないと思いますよ。
まとめ
今回は、セルの結合の是非について解説していきました。
結論は、セルの結合は極力避けたほうが良いということになります。
データは常に整然と並べるのが基本となりますので、結合する際は、充分配慮して使って下さい。
普段何気なく使っているものでも、本当にデータとして機能するのかを考えて使うようにしましょう。
それでは、今後も楽しいエクセルライフをお過ごしください。