みなさんの中にはエクセルを使いこなしたいな、と考えている方も少なくないと思います。しかし、何から手を付けてよいかわからない。もしくは、知識を手に入れても応用が利かない。というような経験はないでしょうか。
そんな方に向けて、どうしたらエクセルを使えるようになるのか、また、ストレスのないエクセル人生を歩めるのかを、実務で使える例として請求書作成をもとに公開していきます。
当記事では、資料を作るときに必要な最低限の考え方や、簡単な関数とショートカットの使い方を知ることができます。
僕自身、経理と会計事務所合わせて15年ほどのキャリアがありますので、信頼性はあるほうだと思います。
まずは請求書の様式を用意しよう

エクセルに限らず何か資料を作成しようとした時は、一から自分で作ることはおすすめしません。ネットからめぼしいものをピックアップしてダウンロードしましょう。
なぜなら、たいていのものはすでに誰かが作ってネット上に公開してくれているからです。手間は極力省く、というのも学ぶ際の心構えとして重要だと思いますよ。
書式はネットからテンプレートをダウンロード
大抵の書式はネットで公開されていますので、そちらを検索して各々ダウンロードしてください。
「エクセル 請求書 テンプレート」と検索すればヒットします。
僕は以下のようなテンプレートをダウンロードしました。以降こちらを使って解説していきます。

書式に簡単な関数・計算式を入れてみよう

使いやすいように書式内の一部を計算式や関数でカスタマイズしていきましょう。
もう一度言いますが、こういう書式を一から作るのはあまり意味がないので、どんどんネットを使ってサクサク進めていきましょう。
TODAY関数を使ってみよう
まずは請求書を作成する日付が表示されるようにTODAY関数を使っていきます。
その前に関数を使う際に入力しやすい方法を伝授します。
関数を使うときに数式バーに直接入力される方を多く見受けますが、あまりおすすめしません。数式バーから関数を選んで入力する作業は意外とストレスになります。
そこで紹介する方法は、まず入力モードを半角英数にしてから、数式を入れたいセルにカーソルを合わせ、「=to」と入力します。すると

上記のようになり、ソフトが自動で「to」から始まる関数をピックアップしてくれます。
今回はTODAY関数のみのようなので、この状態で「Tab」キーを押します。すると

上記のように、「=TODAY(」までセルに入力されます。使う関数を確定し引数(関数に渡す値のようなもの)を入力すれば良い状態になっています。TODAY関数は引数なしでOKなのでそのまま「Enter」キーを押すと確定します。
いかがでしょうか。入力した日の日付が表示されれば成功です。
ROUNDUP関数を使ってみよう
数値計算はしたけど、小数点が発生して邪魔な時ってありますよね。そんなときはROUND系の関数を使っていきましょう。
この関数は、指定した桁数で対象の数値を切り上げる関数です。切り下げるときはROUNDDOWN関数を使います。
ちなみに四捨五入をするときはROUND関数を使いますが、経理などお金に関する業務で四捨五入するものはほとんどないと思いますので覚えなくてよいと思います。
ROUNDUP関数を使うことで数値に統一性を持たせることができます。
さっそく試してみましょう。
以下のように僕がダウンロードした書式だと、小計の下の消費税(8%)の部分に掛け算しか入力されていなかったため、1円未満の小数点が発生してしまっています。

こちらをROUNDUP関数を使って小数点以下を切り上げてみましょう。
以下の図の手順で進めてください。


解説していきましょう。
まず、すでに何かしらの計算式が入っている場合は、「=」の後ろに直接関数を入力するといいですね①。「ro」と打ち込むと連想される関数が表示されるのでROUNDUP関数を選択し、「Tab」キーを押します②。関数が表示されたら「End」キーで計算式の最後にカーソルをもっていき、「,0」と打ち込み「Enter」を押します③④。
そうすると結果として小数点一位が切り上がり整数表記になります。
ここでひとつ疑問になるのが、「,0」の部分ですよね。これは、数字は切り上げ対象の桁数と連動していて「0」は小数点一位を切り上げることを意味しています。数字を増減させると切り上げる桁数も変動します。興味のある方は、いろいろ数字を変えて試してみて下さい。
書式そのものに手を加えるのはこのくらいにして、次の工程に進みましょう。
商品リストを作ろう
請求書に記載するための商品リストを作っていきましょう。
リストを作成する理由は簡単です。管理がしやすいからです。
すべてのデータを直接ベタ打ちしている方をよく見かけますが、これは良くありません。効率が悪く、ミスの温床になります。ですのでリストは先に作っちゃいましょう。
なぜリストを作るのか
理由は先ほどお話しした通り、管理がしやすいからです。
少し深堀りしていきましょう。
このリスト、マスタと言い換えてもよいのですが、これがないと担当者が直接入力することになります。詳細を覚えていないと間違いが起こりますよね。だからリスト化して管理しておきます。
また、紙ベースでリストを作るのもやめましょう。あくまでデータとして管理することによって今後の応用は多方面に渡ります。
今後、少し高度な関数やVBA(マクロ)をご紹介していく予定ですが、その際に大きな力を発揮しますので、その時にまたお話しします。
品番の取り方
具体的に作成していきましょう。
まず完成形をお見せします。

すごくシンプルなものですね。ただこの中には重要な要素がたくさんあります。
- DB(データベース)構造を意識する
- 連番を取る
- 文字列の扱い方
解説していきましょう。
まず、リスト化するとデータベース構造を意識できるようになります。データベースとは一定の情報を後で使いやすいようにまとめておくもの、くらいの感覚で覚えておけば良いと思います。
これを意識してデータを作ると後で応用が効きます。
次に、連番の必要性が上げられます。データベースのように管理する際は必ず必要で、項目としては「ID(index)」を割り当てるのが一般的です。
最後に文字列の扱い方ですが、今回はIDを管理するうえで3桁の整数を割り当てる前提でお話しします。なぜ3桁に統一するかというと、その数字をそのまま請求書に記載するからです。桁数を統一したほうが請求書の見栄えがよくなりますよね。小さなことですが、実務ではけっこう重要な考え方です。
通常、セルに「001」と数字を入力するとゼロがカットされて「1」と変換されてしまいます。
今回は3桁で表現したいので良くありません。そんなときは、「セルの書式設定」を使います。
対象のセルで右クリックし、セルの書式設定を選択します。さらに、ユーザ定義を選択し、種類の欄に「000」と入力します。
すると対象のセルの表記が変わります。

上記画面で確認してください。そのほか、いろいろ設定の変更が可能ですのでお試しください。
また、ここで書式のコピペで簡単な方法がありますので紹介します。以下をご覧ください。

上記の方法で変更をコピペできます。すでにデータが入っているセルの書式のみ変更したいときに有効な方法です。
商品リストの作り方は以上になります。
まとめ[次回予告]
今回は、以下のことをご紹介しました。
- 関数の入力の仕方
- TODAY関数の使い方
- ROUNDUP関数の使い方
- 商品リストの作り方
- データベース構造の重要性
- 文字列等の書式設定
- ショートカット「Ctrl+Alt+V」
次回は、実際に請求データを記載するシートを作成していきます。今回ご紹介した商品リストのようにデータベース構造を元に作成していくことになります。
何度も申し上げますが、データベース構造を理解すると後でめちゃくちゃ処理が楽になりますので、もし、みなさんが今後実務でデータを扱うことがあったら、リスト化(マスタ化)できないかをまず検討してみてください。
その威力に関しては、今後、当ブログで公開していくことになりますのでご期待ください。
[請求書作成初級編②]エクセルを使いこなすための第一歩[入力規則・フィルター]