みなさん、こんにちはケンケンです。
今回は、思い込みやバイアスによって他人からの評価が変動してしまっているのではないか、
という研究を紹介します。
フレーミング効果と自信過剰バイアス
今回ご紹介する研究は、一橋大学ビジネススクール非常勤講師の山口氏が発表したものを参考にしています。
この研究は、日本人の金融リテラシーがアメリカ人よりも低いという通説が本当かを調査したものです。
実際、2万人以上を対象にした日米双方で行われた金融リテラシーアンケート結果を見ると、
正誤問題の正答率が日本47%に対して、アメリカ53%で、
金融知識に自信があるという問いに関しては、「とても高い」「どちらかといえば高い」の合計の割合が、日本12%アメリカ76%と
アメリカが大きく上回っています。
結果を見る限り、日本の金融リテラシーはアメリカに劣っていると捉えられそうです。
しかし、アンケートをよく観察すると
フレーミング効果と自信過剰バイアスによって結果がゆがめられているのではないかという結論に達したのです。
フレーミング効果とは
フレーミング効果とは、同じ質問でも文脈によって回答が異なる可能性があるものをいいます。
コップに水が半分入っている状態を、半分しかないととらえるか、半分も残っているととらえるかで
印象がだいぶ違いますね。印象が違うとそこから派生する行動の選択肢も変わってくるものです。
アンケートには複利についての質問がありました。
日本の質問は2段階に分かれていて、最初に100万円を年率2%で運営したら一年後いくらになるでしょう。(答え102万円[正答率68.6%])
という問いの後、では5年後残高はいくらになるでしょう。という問いがあり選択肢を5つ設けています。
1、110万より多い[正答率43.6%]
2、ちょうど110万
3、110万より少ない
4、問題文の条件では答えられない
5、わからない
正解は1です。
対して、アメリカの問いはひとつで、100ドルを2%で5年運用したら結果はいくらになるか。
1、102ドルより多い[正答率72%]
2、102ドルちょうど
3、102ドルより少ない
4、問題文の条件では答えられない
5、わからない
というものでした。
つっこみどころが満載です。
まず、日本のひとつめの問いに答えられたのがわずか68%という少なさに驚きます。
金融リテラシー以前の問題ですね。
次にアメリカの問いに対する選択肢がひどいですね。
利息の計算が分からなくても102ドルより多くなりそうなのは勘で答えられそうなものです。
それに対して28%間違えている時点でこちらもリテラシー以前の問題と言えるでしょう。
アンケートの最終結果は、日本43.6%、アメリカ72%が採用されています。
これでは、日本のリテラシーが低く評価されるのも仕方がないでしょう。
このように同じような問題の設定をしたにもかかわらず結果にずれが生じてくることがあるのです。
自信過剰バイアスとは
続いて自信過剰バイアスの影響についてお話します。
記事冒頭で金融知識に自信があるかという質問に対しYESと回答した割合は、アメリカ76%日本12%となっていました。
大きな差ですが、では実際にアメリカ人の金融知識は優れているのかというとそうではありません。
最も優れていると回答した中でも、金利やインフレの簡単な質問に正解した割合は59%に過ぎなかったのです。
これはまさに「自分はできるのだ」という自信過剰バイアスの影響を受けているといえます。
つまり、アメリカと日本の金融リテラシーの差はイメージによるところが大きいということです。
これらの結果から言えることは、人間が何かを評価するときはフレーミング効果やバイアスがかかり
正当な結論に至らない可能性があるということです。
職場の人間関係や上司からの評価など悶々とすることが多い時代ですが、人は必ず自己のフィルターを通して他人を見るため
フレーミング効果やバイアスの虜になって正当な判断ができないことがあるのですね。
この知識があればむやみに他人の言動に悩まされることが減るかもしれません。
だって科学が証明しているのだから。
みなさん、こんにちはケンケンです。 今回は、仕事でミスが多くて悩んでいる方向けに記事を書いています。 ですので、「自分の仕事は常に完ぺきだ!」と自負されている方は違うページをご覧くださいw […]